最近、妙に頭が痛い。
調子が良くないのは、ちょっとした悩みのせいかもしれない。
いつも正面にいるおしゃべりなソファは、ドレスを真っ白に洗濯してもらってご機嫌だ。
なんだかお気楽でいいな、とテレビボードは思った。
最近、お父さんとお母さんはほとんどテレビを見ない。
俺は音楽も映画も大好きなのに、このところいつもシーンとして静かだ。
ずっと仲間だったテレビは、壁と仲良くくっついて、少し距離を置かれてしまった。
俺、テレビに何か悪いこと言ったかなー
思い返しても心当たりはなかった。
いつも頭の上にいた相棒のテレビがいなくなってへんな感じがする。
俺の頭の後ろには、つい最近までコードが長い髪を編んだように垂れていてみんなに羨ましがられていた。こんなコードをたくさんくっつけている奴なんて他にいなかったからね。
うっわぁ、先輩かっこいいっス!
特に若いスチールキャビネットからは憧れの存在だった。
なのに、時代の変化につれて自慢のコードはどんどん抜かれていく。
くるくると部屋中をあちらこちら忙しそうに動き回っているお掃除係のロボットが、俺の足元にまるで猫のようになついてくる。
コードに気をつけなよ!と以前だったら威勢良く声をかけたのに、、、、、
ソファのアニキに相談してみようかなぁ
彼は物静かで無口だけど、とてもよく周りを見ている。信用できる存在だ。
俺、このままだとなんか存在感なくなるんじゃないかと心配なんですよ。
テレビのやつはどんどん新しくなって先へ先へと行ってしまうのに、俺は相変わらず代わり映えしない。置いていかれてるようで、寂しく悲しい。
大きくいつもデン!としているソファは、すっかり弱気で泣きそうになっているテレビボードの方をチラッ見て、一息ついてからこう言った。
まあいいじゃないか、先に行きたい奴は行かせてしまえば。
比べることはないよ。
俺たちは俺たちの世界をしっかりと生きればいいんだから。
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