• ikuko shimada

絵本と感覚と記憶

子どもへの絵本の読み聞かせは、よいことだらけです。

絵本のストーリーを通して、人を思いやることの大切さや自然の素晴らしさなど、いろいろなことが学べることは言うまでもありません。

文章も繰り返しやリズミカルなものも多いので、良い文章にたくさん触れることができ、ページを開くごとに展開されていく絵から、豊かな色彩感覚を養うこともできます。

子どもにとってお母さんの声は、おなかの中にいるときから聞いているので耳障りがよく、気持ちがとても落ち着く音色です。忙しく家事をこなしている時間と違って、口調も優しげです。


子どもは理屈ではなく、ほぼ無意識の感覚でいろいろなことを捉えています。どうして暑いのか寒いのか考えるより先に、気持ちが反応してしまうのです。

絵本の読み聞かせは、そんな無意識の視覚・聴覚・触覚というさまざまな感覚に働きかけ、それを満たしてあげられる絶好のチャンスです。

ストーリーを心地よいママの声で聞き、絵本を覗き込むことによってママとの密着度が高くなります。くっつくことは子どもにとって最大の安心が得られる感覚です。

膝の上に抱っこされる子どもにとって、それは自分のためだけの時間、自分のためだけの空間になるわけです。読み聞かせの間、子どもは心身ともにお母さんを独占できるのです。


毎日忙しく動き回っているのは、子どもを育てるため! ほとんど子ども中心に生活が回ってますけど! という声が聞こえてきそうです。でも残念ながら、それは大人側の言い分であり、子どもにしてみれば「ただただいつもばたばたとせわしないお母さん」としか映っていないのです。


絵本を読んでもらっている時間は自分のために用意され、甘えることのできる「至福のとき」。

お気に入りの絵本を繰り返し読んでもらった、うれしい楽しい記憶。こうした子どもの頃の記憶は、大きくなっても覚えているもので、中高生になり、大人になってからも、よく一緒に読んだ絵本のことが話題になることがあります。


成長した子どもが最近全然話をしてくれないなら、幼い頃興味を持った絵本のキャラクターの話をしてみてはいかがでしょうか。

子どもと一緒に「幼かったときの感性」を呼び覚まして、楽しんだ記憶をなぞってみてください。

きっと盛り上がりますよ。

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