陽射し心地よいダイニングルーム。
ここの主役であるダイニングテーブルに添うように、堂々と共演しているのが壁一面をおおう長い長いサイドボードキャビネットだ。
さっそく自己紹介をしてもらいましょう。
えーえー、サイドボードである僕は他の家具のみんなとは少しスタンスが違うんですね。
どこにでも存在できるわけではない!
自立できない僕は、強い壁を準備してからじゃないと生まれることができない。
その準備をしてくれたのは、このうちのお父さんだ。
この家の間取りが考えられるずっと前から、僕はすでにお父さんの頭の中の風景にもう生まれてました。
準備している間、僕はお父さんの頭の中で大きく育ち、誕生した。
お父さんがお母さんみたいな感じ。
なんかややこしいけど。
他の家具との決定的な違いは「float」浮いているということ。
なんかかっこよくない?
テレビボードはお掃除ロボットが足元に絡んでくるたびにコードに絡まらないかヒヤヒヤしていて文句ばかり言ってる。
とても手を焼いているようだけど、僕はそんな心配は全くない!
足元にはさえぎるものがないから、安心安心。お掃除ロボットにとっては特別快適なんだ。
だから彼の基地は僕の足元にある。
いってらっしゃい!
お疲れ様!
掃除から戻るといつも声をかけるのを忘れない。
ただ、僕はテーブルやソファのように簡単に動かしたり持ち出すことはできない。
だから、ソファーのようにこの家の子どもたちの引っ越し先に一緒に行ったこともないし
テーブルのようにおいしそうな料理を家族で囲む事に参加もできない。
スチールキャビネットのように扉にマグネットはくっつかないから、子どもたちと一緒に遊ぶチャンスもない。
それはとても残念なことだし、悔しい。
彼らが羨ましい!
他のみんなのように気軽には動けないんだ、僕。
あ。
もし引っ越しすることになったら、僕はどうなってしまうのだろうか?
壁から取り外されて、、、、
え。
どうなるんだろう。
僕も連れてってくれるよね?お父さん!
そして時々悩む。
僕ははたして家具なのだろうか?
あら?
今までずっと家具だと思ってたけど。
勘違いをしていたとしたら、なんと恥ずかしい。
今度お父さんに思いきって聞いてみよ。
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